京都・洛西

2013年4月23日 (火)

京都・洛西 新緑2013 ~落柿舎 4.20~

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新緑に包まれた落柿舎です。落柿舎と言えば柿の木ですが、実際には様々な木々に覆われている事が判ります。特に面白いのが生け垣ですね。いったい何種類の木が植えられているのでしょうか。

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嵯峨野路とは言っても、ほとんどのところは宅地化が進んでおり、野道と言える場所はまずありません。唯一の例外がこの区域ですね。落柿舎の前に保全された農地と背後の森のおかけで、嵯峨野路の原風景を垣間見る事が出来ます。

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その農地には、何かが植えられていました。以前は古代米が植えられていたのですが、これは何でしょうね。夏頃になれば正体が判るのかな。

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秋の赤い実を稔らせた柿も風情がありますが、淡い新緑もまた魅力的です。花は全く地味で目立たないのですけどね。その小さな花を探してみるのも面白いものですよ。

2013年4月 4日 (木)

京都・洛西 京都桜事情2013 ~4.4 速報~

今日は有休が取れたので、嵐山・嵯峨野を巡ってきました。桜は染井吉野がピークを過ぎながらも見頃を保っており、好天とあいまって花見日和となりました。人出も平日とは思えない程賑わっていましたね。

1.嵐山

染井吉野が満開・見頃となっています。正確には花の中心が赤くなってきており、見頃後半かな。全般に開花の早かった今年にあっては、ここは比較的遅い進行だったのかも知れませんね。

2.天龍寺

ここの中心となる枝垂れ桜は大半が見頃を過ぎており、散りが盛んです。一方、竹林の小道側の入り口近くでは、染井吉野や八重紅枝垂れ桜、それにレンギョウなどが見頃となっていました。あと、三つ葉ツツジも綺麗でしたね。

3.常寂光寺

山門手前にある大きな枝垂れ桜は見頃を過ぎており、散りが盛んでした。境内の山桜なども大半が見頃を過ぎています。その中で、多宝塔付近の桜は見頃を保っており、中でも枝垂れ桜は綺麗でしたよ。

4.化野念仏寺

染井吉野と八重紅枝垂れ桜が満開・見頃となっていました。桜と石仏の取り合わせは見事で、ここらしい風情に溢れていましたよ。

5.二尊院

山門から覗いただけですが、紅葉の馬場の染井吉野は満開・見頃の様でした。なんとなく入りそびれたのですが、ちゃんと見てくれば良かったかな。

2012年11月24日 (土)

京都・洛北・洛西 京都紅葉事情2012 ~11.24 速報~

今日は鷹峯と洛西の紅葉を見てきました。紅葉も見頃のところが多かったですが、人出も最高でしたね。特に嵯峨野の混み具合は凄かったです。

1.光悦寺

参道が見頃になっています。黄色に染まったもみじがとても綺麗ですね。そのぶん、境内の方は見頃を過ぎており、名残の紅葉となっています。正直言って、参道だけで十分かなというところです。

2.源光庵

境内一円で見頃になっています。今日回った中では最高だったかな。悟りの窓からの眺めも素晴らしく、ここは10年に一度という形容詞がぴったり当てはまるポイントかも知れません。まあ、その分人出も多く、窓の前の場所取りは順番待ちで大変でしたけどね。

3.清涼寺

ここも境内一円で紅葉しています。太子堂周辺など、まだ少し浅い色付きの部分もあったかな。でも、そこそこ綺麗な紅葉を楽しむ事が出来ましたよ。庭園には入っていないので判りません。


4.宝筺院

境内全域で色付いており、見頃になっています。ここは、山門から本堂にかけて、つまり入り口から入ってすぐのあたりが一番綺麗だったかな。他の場所もまずまずの紅葉で、結構お薦めのポイントですよ。

5.祇王寺

まずまず見頃と言って良いのでしょう。まだ緑の部分も残っていたのですが、周辺の木々は黄色く色付き、見応えはありました。ここは凄い人出で、隣の壇林寺の前まで行列が出来ていましたね。祇王寺でここまで混んだのは初めての経験です。

6.二尊院

ここも凄い人出で、山門前から長い行列が出来ていました。さすがに「そうだ京都行こう」のキャンペーン対象になっているだけの事はありますね。祇王寺に続いて並ぶだけの気力が無かったので中には入りませんでしたが、外から見た分には紅葉の馬場はほぼ色付いている様でした。

7.落柿舎

山門内のもみじは半ば散っており、寂しい姿になっています。その代わり、あれは境内の中にあるのかな、有智子内親王墓の裏手のもみじが綺麗に色付いていました。

8.野宮神社

前を通っただけですが、それなりに色付いている様に見受けられました。ここもいつもに増して人出が多っかたです。参拝の順番待ちの列が、鳥居から出てさらに長く伸びていましたよ。

2012年11月16日 (金)

京都・洛西 京都紅葉事情2012 ~11.16 速報~

今日は昼から休みを貰って、嵐山・嵯峨野を巡って来ました。紅葉情報では見頃又は一部見頃の場所が多くて期待していたのですが、まだ少し早かった様です。それに、東山界隈に比べると色具合が今ひとつで、10年に一度の当たり年という感じではなかったです。縮れた葉も結構あったしね。かと言って特に悪いという訳でもなく、普通に綺麗という感じでした。

人出は平日とは思えない程多かったです。寿司詰めの嵐電なんて初めての体験だものなあ。

1.嵐山

色続いて来ていますが、まだかなり浅い色具合です。見頃までにはもう少し掛かりそうですね。

2.天龍寺

事前の情報では見頃とあったのですが、一部見頃というのが正しいのでしょうね。全体としては4分から5分程度の色付きかな。綺麗に色付いている木もありますが、今ひとつ艶の無い葉も多く見られ、感激は薄かったです。

3.常寂光寺

毎年真っ先に色付くのが多宝塔の周辺なのですが、今年は少し遅れた様で、まだ少し浅い色付き方です。縮れた葉も少し見えるかな。今日は本堂周辺の方が綺麗に色付いていました。また、庭園も今年は早く色付いていますね。その代わりというか、山門から石段周辺にかけては少し遅めの様です。帰り道の石段はまだ緑のままなのは例年通りですね。

ここもまずまずなんだけれども、凄いという程ではないですね。

4.落柿舎

庵前のもみじが薄いオレンジ色に染まってきています。見頃まではもう少しかな。柿はごくわずかで寂しい姿です。

5.二尊院

ここは山門から覗いただけなのですが、紅葉の馬場はまだ色付き初めという感じでした。「そうだ京都行こう」のキャンペーン対象ですが、そのせいなのでしょう、結構な人出でしたね。

6.滝口寺

一部で見頃になっていますが、全体としてはまだ少し色付きは浅い感じですね。残念な事に、本堂前のもみじの葉が全て落ちていました。景観上一番大切な木なのに何てこった。

7.祇王寺

外からしか見ていないのですが、まだ色付き初めという感じでした。にも係わらず、なぜか団体客が次々と押し寄せており、凄い混み方でしたね。清盛のせいなのかしらん?

8.化野念仏寺

賽の河原の東側のもみじが綺麗に染まっています。石塔との絡みは、この寺ならではの景観ですね。ただ、他のもみじはまだ緑か色つぎ始めた程度で、全体としては物足りない感じです。色合いは良い感じでした。

9.鳥居本

平野屋さん背後のもみじは赤、オレンジ、色付き初めの混合、つたやさん前のもみじは色付き初めです。平野屋さん前の崖のもみじは、オレンジ色に染まっていますがまだ物足りないですね。それに縮れた葉も目立ち、当たり年とは行かない様です。

2011年12月 1日 (木)

京都の散歩道 紅葉案内 洛西編 8

昨日は直指庵までの道を紹介したので、帰りは大徳寺バスターミナルからとしました。でも、この散歩道での推奨は清涼寺から引き返すコースなので、ここから野宮神社経由で嵐電嵐山駅まで戻る道順を紹介しておく事にします。

清涼寺の仁王門を出た後、森嘉の方には行かずに正面の道を真っ直ぐに進みます。ここは一方通行の細い道路ですが、歩道があるので歩きにくいという事は無いと思います。でも、嵯峨野らしさとは無縁の道なので、あまり歩いていても楽しくは無いですね。ずっと歩いていくと、新丸太町通との交差点に出て来ます。

この交差点をひとまず渡ると、右の角に料理店があるはずです。この店の向こう側、小さな神社との間に細い道があるのですが、この道に入って下さい。少し歩くとやがて左手に竹藪が見えてきます。これが竹林の小道を形成する竹林の北辺ですね。この竹林の反対側は駐車場になっているのですが、その道をおよそ200mほど歩いて下さい。すると左手に竹林の中に入っていく道が現れるはずです。ここで一度竹林がとぎれて角に民家が建っているので、たぶん判ると思います。

これから歩く道は竹林の小道から分岐している道で、あるいはその一部と言っても良いのかも知れません。ただ、このあたりの竹林は少し荒れた感じがすると言ったら叱られるかな。

竹林の中を歩いて行くと、前方に踏み切りが見えてきます。これはJR嵯峨野線の踏切ですね。嵯峨野らしい風情の中に突然現れる異質な存在なのですが、このミスマッチもまたこの散歩道の楽しさの一つです。また、この踏切を渡る時に眺める線路の景色は、旅情が感じられて結構良いものですよ。

この踏切を渡ると右手に野宮神社が見えてきます。表皮を剥かないクヌギの丸太を使用した黒木鳥居が目印ですね。

野宮とは斎王が身を清める場の事です。伊勢神宮に仕える斎王に選ばれた女性は、野宮で1年間精進潔斎をした後、伊勢に向かったのでした。野宮は天皇の即位毎に選定されていたのですが、嵯峨天皇の時に今の場所に定められた後は、継続して使われる様になりました。源氏物語の舞台ともなっており、六条御息所と光源氏がここで別れを告げています。

斎王の制度は南北朝の戦乱の中で廃絶となったのですが、野宮は神社として存続して来たのですね。今は流行のパワースポットの一つとして知られ、特に恋愛成就にご利益があるとして人気を集めています。ですので、この神社の周辺は常に混雑していますね。

紅葉は境内右奥の苔の絨毯と呼ばれる一角が見所となります。美しい苔と紅葉のコラボレーションは、なかなか見応えがありますよ。紅葉の時期はかなり遅く、11月末から12月始めにかけて見頃になる事が多いと思われます。嵐山花灯路の時にまだ見頃だったりしますね。

野宮神社からの帰り道は、鳥居を出た後、右へ真っ直ぐに進んで下さい。すぐに分かれ道があるのですが、そこを曲がってしまうと大河内山荘に向かってしまうので、間違えないようにして下さいね。後は道なりに歩いていくと、嵐山のメインストリートに出る事が出来ます。嵐電の駅に向かうには、この道を右に歩いていけばたどり着けますよ。

また、JRの駅に向かうには、嵐電とは逆に左に曲がり、一筋目を右に入ればあとは真っ直ぐとなります。ちなみに、アニメ「けんおん!」で、修学旅行の時に道に迷う場面がありますが、右に曲がってから一筋目を左に入って行ったあたりが舞台です。実際にあそこまで迷う事は無いとは思いますが、川があって道が途切れているなど、位置を失いやすい場所ではありますね。最初に曲がる方向を間違えると面倒なので、注意して下さい。

以上で洛西編を終わります。まだ紹介出来ていない所もあるのですが、それは実際に歩きながら見つけて下さい。思わぬところに発見があるのも、嵯峨野の楽しみ方の一つですからね。難点は、ほとんどのところで拝観料を取る事かな。一カ所だけなら知れたものではあるのですが、何カ所も回っていると結構な出費となるのですよ。そのあたりも考慮に入れて、嵯峨野散策を楽しんで下さいね。

2011年11月30日 (水)

京都の散歩道 紅葉案内 洛西編 7

清涼寺から門前の道を東に向かいます。森嘉の前を通り過ぎて暫く行くと府道に出ますが、そのまま横断歩道を渡って真っ直ぐ行って下さい。かなり細い道ですが、その割に車が通るので注意しながら行って下さいね。道なりにひたすら歩いていくと、やがて大覚寺門前という交差点に出ます。この交差点の向こう側に大覚寺門跡と書いた石柱がありますので、横断歩道を渡ってその石柱のある道に入って下さい。この道は直線で判りやすいのですがその分単調で、かつ車が多くバスまで通るので、はっきり行って歩いていても楽しい道ではありません。でも、迷わずに行くにはこの道が一番ですね。

さて、突き当たりまで歩くと、そこは大覚寺の入り口になっています。ここで大覚寺に入るかどうかは迷うところで、こと紅葉に関しては中に入っても見るべきところはあまり無いのですよ。いくつか紅葉はあるのですが、むしろ見所は嵯峨菊かな。殿上から見るのに丁度良い具合に仕立てられた独特の草姿はこの大覚寺が発祥の地とされており、本場の花を愛でて行くというのは悪くない選択です。ここは時間と体力との相談ですね。もし両方とも余裕がある様でしたら拝観して行って下さい。

なお、祇王寺と大覚寺(大沢池を含む)の両方を訪れる予定を立てるのなら、共通拝観券を買っておくと割安になりますよ。

紅葉の見所は大沢池にあります。大沢池は大覚寺の前身である嵯峨離宮の庭池として築かれた池で、平安時代の初期にまで遡ります。今はただのため池と変わらない姿なのですが、かつては寝殿造りの御殿と一体となった庭園を形作っていたのでしょうね。その名残を名古曽の滝跡やその近くにある庭湖石、中島などに見る事が出来ます。中国の洞庭湖を模して作ったと言いますが、さぞかし巨大な離宮だった事でしょうね。

紅葉は池の周囲に散在していますが、まずは心経宝塔の東にあるもみじ林でしょうか。距離にしてどうだろう、50mはあるのかな、頭上まで枝で覆われたもみじのトンネルで、タイミングが合えば素敵な散歩道となります。やや薄暗いので、写真を撮るのは難しいですけどね。

紅葉の中心池の南側の土手で、桜ともみじが混在した並木道になっています。桜の方が早く色付いて散ってしまうので、もみじが色付く頃には歯抜け状態となってしまい、対岸から見た景色はさほどでもありません。でも、もみじの際まで行くととても美しく、紅葉越しに池や心経宝塔を眺めると、とても絵になるのですよ。もう一つ、池面で蓮の葉が枯れた様子は如何にも寂しく、晩秋の風情を味わうにはもってこいの添え物となります。ここは是非、池の周囲をぐるっと回ってみる事をお薦めします。

大沢池から今度は直指庵を目指します。池から出て、元の道を引き返します。そのまま大覚寺の入り口を通りすぎ、次の角を右に入ります。そして、生け花学校の建物を右手に見ながら道なりに歩いていって下さい。ここはやや細い道ですが、ほぼ直線コースなので迷う事はありません。やがて道は突き当たり、正面が細い露地、右手にこれまでと同じ幅の道が続く曲がり角に出ます。ここは右の広い方の道を選んで進んで下さい。確かここには、直指庵の方向を示す矢印の入った小さな看板が出ていたと思います。

この道をまた真っ直ぐ歩いていき、二つ目の角を今度は左に曲がります。この角にも看板はあった様な気がしますね。ここまで来ればしめたもので、後はひたすら真っ直ぐ歩くだけです。途中でだんだんと道が狭くなったりするのですが、とにかく山に突き当たるまで直進して下さい。途中の交差点には大抵看板があるので、迷う事はないと思いますよ。

山に突き当たったら、今度は左に大きく回り込んで下さい。すると道は右手にカーブして行くのですが、そのまま道なりに歩いていけば直指庵の入り口にたどり着く事が出来ます。

まず出迎えてくれるのは茅葺きの山門です。ちょっと華奢な感じのする、山あいの寺に相応しい門ですね。受付を済ませると階段になっていて、途中にちょっとした庭園があります。紅葉はこのあたりから始まっていますね。

階段を登り切ると茅葺きの本堂があります。入り口は障子戸で、蓑笠が脇に吊られていたりして、如何にも草庵という雰囲気がありますよ。座敷にはこの寺を有名にした想い出草ノートが置かれています。また、縁側に出ると、さっき上ってきた階段と庭を見下ろす事が出来ます。ここから眺める紅葉はなかなか綺麗でした。

本堂の左手には道祖神が置かれています。この寺のシンボル的な石像で、ご覧になった事がある方も多いのではないかな。ここから通路を奥に進むと開山堂や地蔵堂、観音立像などがあるのですが、紅葉はこの通路周辺がメインとなります。あと、地蔵堂周辺もきれいだったかな。

嵯峨野で最も遅く紅葉するスポットとして知られ、11月末から12月初め頃にかけて見頃となる事が多いようですね。良く知られた寺ではあるものの、ここまでやって来る人は案外少なくて、静かに紅葉を楽しめる穴場的存在ですよ。

なお、ここは尼寺でも女性の駆け込み寺でもなく、男子禁制というイメージは誤りですから、誤解のなきように願います。

ここからの帰り道ですが、さすがに嵐電嵐山駅まで行くのは大変でしょうから、大覚寺のバスターミナルからバスに乗るのが良いでしょうね。行き先としては京都駅、京阪四条など各方面に向けて出ていますから、困る事はないと思います。

明日は最後に残ってしまった清涼寺から野宮神社までのコースを紹介します。

2011年11月28日 (月)

京都の散歩道 紅葉案内 洛西編 5

愛宕念仏寺から、ここまで来た道をずっと戻ります。二尊院の手前まで来たら、二尊院には向かわずに真っ直ぐ行って下さい。暫く歩いていくと左手に厭離庵と書いた看板が見えて来るはずです。ここはごく細い通路ですから、初めてだと入って良いのかと迷いますが、大丈夫ですからずっと奥まで行って下さい。突き当たりが山門で、臨時の受付が出ているはずです。

厭離庵は藤原定家の山荘跡と言われ、久しく荒廃していたのですが江戸時代の中頃に冷泉家が復興し、霊元法皇から厭離庵の号を得たとされます。臨済宗天龍寺派に属しており、長く尼寺だったのですが、平成18年から男性の僧侶が住職となっている様です。

ところで、藤原定家の山荘跡と言われる場所は複数あり、この散歩道でも紹介した常寂光寺のほか、二尊院の中にもありますね。どこが正しいのかは判っていない様ですが、冷泉家は定家から続く家系であり、なんとなく信憑性は感じてしまいます。

山門を入ると正面に茅葺きの小さな建物があります。その左手に階段があって、庭園へはここを上って行く事になります。この山門付近にももみじがあって綺麗に色付くのですが、紅葉のタイミングは庭園よりも遅い様ですね。

さて、階段を上がっていくと、小さな腕木門があります。茅葺き屋根の付いた洒落た門で、詫び寂びの世界に通じるものを感じますね。紅葉のメインはこの門の奥の庭園で、最盛期には見事な赤色に染まります。それも日陰にあるせいかとても深い赤色で、華やかさのなにも落ち着きのある色調は、この寺ならではのものですね。

そして、一番の見所は敷き紅葉にあると言われます。木に葉が茂っている間は薄暗い庭なのですが、全てが散ると光が入って明るくなり、地面を埋め尽くすもみじが鮮やかに照らし出されるのですね。一昨年に初めて訪れた時がまさにこの状態で、あまりの美しさに暫し見とれてしまいました。

紅葉のタイミングはかなり遅く、11月末から12月初め頃にかけて見頃となる事が多いようです。境内は狭いのですが、訪れる人は少ないため、それほど混雑する事はありません。

厭離庵を出て、元の道を左に進みます。ずっと道なりに歩いていくと、やがて清涼寺の西門にたどり着きます。清涼寺には後から入るので、ここでは道なりに右手に進んで下さい。そのまま歩いて、やがて清涼寺の壁が尽きる頃、道は二手に分かれます。その丁字路の右手にあるのが宝筺院、楠木正行ゆかりの寺です。

正行は南北朝時代の南朝方の武将で、戦前の皇国史観においては小楠公と呼ばれ、大変な忠臣とされていました。この寺には彼の首塚があるのですが、幕末に廃寺となったため、その後は荒れ果てた状態になっていたそうです。明治24年、時の京都府知事の北垣国道がこの事を知り、小楠公の遺跡を顕彰すべく欽忠碑という石碑を建立しました。この事がきっかけとなって小楠公の遺跡を守ろうという運動が起こされ、大小の伽藍が整備されて大正6年に完工しました。これが今の宝筺院ですね。

境内はもみじで埋め尽くされていると言って良く、素晴らしい紅葉の名所になっています。嵯峨野の中でも人気のあるスポットの一つで、拝観者はかなり多いですね。そのため入り口付近は混み合うのですが、中に入ってしまえば境内が広いので、それほどでもなくなります。

まだ一度しか入った事が無いので紅葉の傾向は判りませんが、ホームページの情報に拠れば11月末頃に見頃となる事が多いようです。

明日は清涼寺に入る事にします。

2011年11月24日 (木)

京都の散歩道 紅葉案内 洛西編 2

天龍寺の奥、百花苑まで行くと、北門から竹林の小道に抜ける事が出来ます。ここは野宮神社から続く道の中程で、右に行けば神社、左に行けば大河内山荘にたどり着く事になります。野宮神社には帰りに寄りますので、ここでは左に向かう事とします。

竹林の小道は文字通り竹林の中に続く道で、嵯峨野の人気スポットの一つです。良く手入れされた竹林が両側に広がり、頭上はすらりと伸びた竹で覆われます。あたかも竹のドームの中を歩いているかの様な感覚で、先程の駅前の通りとは比較にならない極上の道です。野宮神社の付近は少し混み合うのですが、天龍寺から出て来た辺りはそれほどでもなく、人混みのせいで風情を壊されるという心配は要りません。

道はゆるやかなカーブの付いた上り坂で、この高低差と道の曲がり具合が景色に変化を与えてくれます。時々振り返って、見下ろす景色を楽しむ事も忘れないで下さいね。

この道は紅葉としては見るべきところはほとんど無いのですが、時おり道ばたに草紅葉が見られる事があります。また、大河内山荘が近付いてくると、竹林の間から紅葉が見え隠れし始め、竹の緑とのコントラストが楽しめますよ。

竹林の小道が尽きる所にあるのが大河内山荘です。戦前から戦後にかけて活躍した映画俳優大河内伝次郎が築いた別荘で、名園がある事で知られます。ここも紅葉の名所の一つさとされますが、拝観料が1000円と高いため、一度も入った事が無いのですよ。ですのでここは素通りさせて頂く事とし、先を急ぎます。無論、興味のある方は入って貰って結構です。なかなか見晴らしが良く、京都の町が遠望出来るそうですよ。

さて、山荘前の道を右手に進みます。道はやがて下り坂となり、右下手に線路と駅が見えてくるはずです。これがトロッコ嵐山駅ですね。

保津川沿いに走るトロッコ列車は人気が高く、特にこの時期は乗車する人が多いようです。残念ながら私は乗った事が無いのですが、調べた限りではこの駅からも乗車する事は出来るようですね。また、当日券もある様ですが、先着順の発売であるため、余程の幸運に恵まれない限り、その場の思いつきで乗るのは無理みたいです。一ヶ月前から購入できるそうなので、興味のある方は事前にチケットを購入される事をお薦めしておきます。

トロッコ嵐山駅からは道が二つに分かれるのですが、左の道を進む事にします。少し歩くと池に出るのですが、これが小倉池です。心霊スポットの一つともされますが、とても開放的な場所で、昼間歩いているぶんには少しも怪しい雰囲気はありません。

この池の対岸に日本で唯一とされる髪の神様を祀る御髪神社があります。小さな神社ですが、全国の理容業者には良く知られた存在なのだそうですね。また髪に悩み事を抱える人が参拝するほか、最近では髪は頭を守るという連想から受験生の合格祈願にまで広がりを見せているそうです。意外な人気スポットが隠れているのも嵯峨野らしいと言えるかも知れません。

池を過ぎると生け垣と木立に囲まれた道になります。ここももみじが多く、それなりに綺麗に色付く道筋ですね。この道が尽きる左手に、常寂光寺の黒い門が見えるはずです。

常寂光寺は日蓮宗の寺で、藤原定家の時雨亭があった場所とも伝わります。境内のほぼ全域が紅葉スポットと言って良く、嵯峨野屈指の名所の一つです。見所としては、山門周辺とそこから続く石段の周辺、本堂周辺、庭園、多宝塔周辺、帰り道の石段等に分けられ、それぞれ紅葉の時期が少しずつ異なります。一番早いのが多宝塔周辺で11月上旬から半ばにかけてで、次が本堂と石段周辺になるのかな。一番遅いのが帰り道の石段で、ここは12月初め頃に見頃を迎える事が多い様です。

今年はやはり紅葉するのが遅く、ホームページの情報に依れば22日現在でようやく見頃の開始となり、27日頃に最盛期になりそうとの事です。

でも、こんな情報ではなく、自分の目で確かめたかったなあ。

それはともかく、明日は二尊院へと向かう事にします。


2011年11月23日 (水)

京都の散歩道 紅葉案内 洛西編 1

今回は洛西編として、嵐電・嵐山駅を起点としたコースをお届けします。嵐山に通じている電車は、嵐電の他にもJRと阪急があるのですが、渡月橋までの経路が違う程度であとは共通ですから、今回のコースが参考になると思います。

さて、駅舎を出るとそこは嵐山のメインストリート、様々なお店が並ぶ賑やかな道が待っています。大勢の人が行き交う、これぞ観光地という雰囲気ですね。ここから嵐山・嵯峨野巡りが始まるわけですが、まずは代表的な名所である渡月橋から巡る事にしましょうか。

渡月橋へは駅を出て左手に歩いて行く事になります。時間帯にも依りますが、歩道は雑踏と言って良い程に混み合います。せっかくの行楽なのに人混みは嫌だと思われるでしょうけど、ここは我慢して歩いていって下さい。混雑は渡月橋の手前にある横断歩道のあたりがピークでしょうね。歩道から人が溢れそうになっていると思いますが、そこを過ぎれば雑踏からは開放されます。

歩道を渡れば、橋の上には行かずに左手、川下の方に向かいます。ここも人は多いのですが、さっきまでの雑踏よりははるかに快適に歩けますよ。ここに来た目的は、渡月橋越しに嵐山を見る事です。橋の袂に松をあしらい、大堰川の流れを横切る渡月橋とその背景の嵐山をセットにした眺めは、代表的な京都の景色の一つですね。絵はがき的ではあるけれども、素晴らしい眺めである事は間違い有りません。

写真的には、岸辺の紅葉越しに渡月橋を見るという構図が一つのポイントとなるのですが、残念ながら訪れるべきタイミングが難しく、上手く撮れた事は一度も無いですね。

嵐山はもみじの他にも様々な落葉樹があるので、紅葉そのものは早い時期から始まります。淡い色付きのモザイク模様ですが、秋の風情を感じるには悪くない景色ですよ。でも、山全体が息を呑むような色に染まるのは、やはりもみじが色付き初めてからになるでしょう。時期は年によって異なりますが、概ね11月半ば以降になるのかな。

ここから渡月橋を渡って中の島に行っても良いのですが、橋の上が混み合って時間が掛かると思われますので、ここでは上流側に向かう事にします。

橋の上流にある堰が一の井堰、平安京以前に秦氏が築いたという古い歴史を持つかんがい施設です。この堰の上流側に来ると景色が一変し、湖の様に静かになった水面に、綺麗に色付いた嵐山が写り込むという、とても穏やかな光景を目にすると思います。これも嵐山の貌の一つで、遊覧船に乗ってこの景観を楽しむのも面白い趣向かも知れませんね。

さて、京都吉兆を目印しに歩き、その次の角を右に入って下さい。入ってすぐ左にあるのが小倉百人一首をモチーフとした博物館「時雨殿」なのですが、最近は休館が続いています。オープンした時はかなり話題になったのですが、どうしちゃったのでしょうね。仕方がないのでここは素通りし、そのまま歩いていくと左手に宝厳院が見えてきます。ここも紅葉の名所の一つで、よく手入れされた回遊式の庭園を巡りながら紅葉を楽しむ事が出来ますよ。ここに入っても良いのですが、結構時間が掛かるので今回はパスします。時間に余裕がある時や、奥嵯峨にまでは行かないという時には寄って行かれると良いですよ。

そのまま道なりに進んでいくと、やがて天竜寺の参道に突き当たります。この天竜寺が今回のコースの二つ目の目的地となります。

天竜寺は足利尊氏が創建した寺で、京都五山の一位に位置付けられてきた由緒深い禅寺です。創建時には嵐山も渡月橋も全て境内に含まれていたという大寺で、足利氏の威信を賭けた事業だったのでしょう。しかし、その巨大さに比例して莫大な費用を要したため、造営は困難を極めました。そこで考えられたのが交易で、元寇以来絶えていた元との間に貿易を結び、その利益を建設費に充て様としたのですね。この策は見事に的中し、交易の成功によってようやく落成にまでこぎ着ける事が出来たのでした。この交易船は「天竜寺船」の名で知られ、その後も室町期を通して中国との交易は続行された様です。

境内の奥にある多宝殿に行くと後醍醐天皇の像があるのですが、これはこの寺がこの帝の御霊を弔う為に建てられた事を示します。つまり、北朝方として後醍醐帝と対立していた尊氏が、敵であった帝のために造営した寺であるという訳ですが、一説には帝の怨霊化を防ぐ為に発願したのだとも言われます。なにしろ平安期の崇徳帝の先例がありますからね、尊氏が祟りを恐れたとしても不思議はなかったと思われます。

さて、天竜寺の紅葉は曹源池の周辺がメインで、奥の庭園と参道沿も綺麗な紅葉を見る事が出来るポイントです。紅葉のタイミングは参道が比較的早く、曹源池周辺は11月半ばから後半にかけて見頃となる事が多い様です。とにかく境内が広いので、12月に入っても見頃の木がそこかしこに残っていると思いますよ。

ちなみに、ホームページの情報に拠ると、ちょうど今、曹源池周辺が見頃になっている様ですね。

明日はここから竹林の小道を通って嵯峨野へと歩みを進めます。


ねこづらどき

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