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2008年6月

2008年6月29日 (日)

京都・洛南 紫陽花苑~藤森神社~

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藤森神社の紫陽苑に行ってきました。藤森神社には2つの紫陽花苑があり、併せて3500株もの紫陽花が植えられています。

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平面的にはさほど広くはないのですが、一面に植えられた紫陽花の森の中を縫う様に小径が巡らされ、文字通り花に埋もれる様にして苑内を歩く事になります。ですから、思ったよりも時間が掛かる事になりますよ。

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詳しい品種までは判りませんが、とにかく沢山の種類がある事だけは確かです。それにしても、紫陽花の花色は土壌のPHによって決まると聞くのですが、ここでは様々な色が混在しています。いったい、どのような管理を行っているのでしょうね。

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どの花も見事なのですが、やはり目に付く花というのはあります。これはよく見る花ではあるのですが、この優しい色合いは何度見ても良いものだと思います。

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こちらは第二紫陽花苑で咲いていた白い紫陽花です。これはアナベルなのでしょうか。赤と青が基調になっている中にあって、一際清楚に輝いて見えました。

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花色という点では、この深い紫の花が気に入りました。一つ一つの花びらの中で赤紫と青紫が複雑にグラデーションを描き、全体としてはとても奥行きを感じさせる花色になっています。

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紫陽花苑のある藤森神社は、203年に神功皇后によって創建されたと伝えられる、大変古い歴史を持つ神社です。菖蒲の節句はこの神社が発祥の地とされ、各家庭に飾られる武者人形には藤森神社の神が宿ると言われています。つまり、知らない間に藤森神社のお世話になっていたのですね。

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その関係があるからでしょう、本殿の左手には金太郎像が置かれています。このポーズは熊を投げ飛ばした時の姿なのでしょうか。また、上の写真は神社縁の武将かと思ったのですが、ホームページには神鎧像とあり、これも武者人形という事なのでしょう。ただ、これらの像の前には説明書きが無く、せっかくの金太郎もなぜここにあるのか由来が判りません。せめてホームページにでも記載してくれないものかしらん?

紫陽花苑の期間は約一ヶ月とされていますが、花の咲き具合によって変わります。今は最終盤に差し掛かったとは言えまだまだ見頃ですから、とりあえずは来週末(7月6日)までは開放されるそうです。その後は花の具合によって決められるそうなので、行かれる前に神社に確認をされる事をお勧めします。

藤森神社ホームページ

2008年6月28日 (土)

京都・洛中 菩提樹~廬山寺~

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京都で菩提樹と言えば真如堂が知られていますが、探せば他でも見つける事が出来ます。ここ廬山寺でも少し小振りな木ではありますが、菩提樹が沢山の花を咲かせていました。少し盛りを過ぎつつありましたが、やはり良い香りですね。

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木の側にある灯籠の苔の上は、落ちた花が降り積もっていました。一つの苞に付く実は最終的には2つか3つですので、ほとんどの花は結実せずに散る運命にあるのですね。それならこんなに咲かせなきゃ良いんじゃないかと思うのですが、少しでも良い実を成らせるための戦略なのでしょうか。それとも、香りを沢山出して虫を呼ぶためだとか。

この写真を撮ったのが6月21日の事なので、今頃は花も終わって丸い実が出来ている頃かな。菩提樹は実が出来るのが早いですからね。これから夏にかけて実が熟し、秋が終わる頃にはプロペラの様に舞ながら落ちる姿が見られる事でしょう。その頃にまた、紅葉と併せて見に行けたらと思います。

2008年6月27日 (金)

京都・洛中 晦庵・河道屋~みぞれそば~

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麩屋町三条上がるにある晦庵・河道屋。以前にも紹介したように、江戸時代から続く蕎麦屋さんです。この店には何度か来ているのですが、夏場に来たのは今回が初めてでした。この時期、夏ならではのメニューがいくつもあったのですね。

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その中で私が選んだのはしぐれそばみぞれそばのセット。茶そばに鳥の照り焼きが乗り、大根おろしを添えて食べるという冷たい蕎麦です。一口目は照り焼きの味が強すぎて蕎麦の味がせず、これは失敗かと思ったのですが、大根おろしとよく混ぜると程よく中和され、とても美味しくなりました。最初からこうしておけば良かったのですね。

セットで付いてくるのが季節ごはんで、この日は梅ごはんでした。ほんのりとした梅風味が効いていて、なかなかの美味でしたよ。

このセットで1150円1400円、鳥のおかげでボリュームも結構あります。夏ばて防止にも丁度良いかも知れませんよ。京都散策の途中での腹ごしらえに如何ですか。

(本文中にそばの名前及び値段についての間違いがありました。ここにおわびして訂正いたします。)

2008年6月26日 (木)

京都・洛中 桔梗2008~廬山寺~

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御所の東に位置する廬山寺で、桔梗が咲き始めています。

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この寺のある場所は紫式部の邸宅跡と言われ、その縁からこの庭は「源氏の庭」と呼ばれています。そして、源氏物語の第20帖の巻名になっている朝顔とは桔梗の事である(木槿の事とも)事から、沢山の桔梗が植えられる様になりました。

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この桔梗の花色はまた、紫式部の紫に通じる事から、二重に縁があるという事になりますね。

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6月21日現在の廬山寺の桔梗はまだ咲き始めたばかりで、見頃までにはもう少し時間が掛かりそうでした。今週末だと、まだ少し早いかも、です。

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ここの桔梗は確かに風情があるのですが、多くは南を向いて咲くので、ほとんどの花が後ろ姿になってしまうのが難点です。まあ、眺めている分にはさほど気にならないところではあるのですけどね。写真に撮るとはっきり判ってしまい、艶消しになるのがちょっと残念です。


2008年6月25日 (水)

京都・洛東 桔梗を愛でる特別拝観2008~天得院~

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東福寺の塔頭・天得院にて、恒例の桔梗を愛でる特別拝観が行われています。天得院は普段は非公開なのですが、桔梗の咲く今の時期と秋の紅葉の時期には、毎年特別に公開されているのです。

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天得院を訪れたのは6月21日の事でしたが、まだ盛りには少し早かったですね。咲いている事は咲いているのですけどね、まだ蕾の数の方が多いという状況でした。

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あれから4日が経過して、そろそろ咲き揃い始めた頃でしょうか。今週末あたりに見頃になるかも知れませんね。

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ちょっと不思議なのは智積院の桔梗との違いで、ほぼ同じ場所にあるにも係わらず、随分と開花状況に差があります。そこで過去の開花状況を調べてみたのですが、天得院の方が例年並みで、智積院の咲き方がかなり早い様ですね。昨年から今年にかけて、大幅に手を入れた事が関係しているのかしらん?

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天得院を出て臥龍橋へと向かいます。この道沿いでは夏萩が咲いていました。萩が植わっている左手の白壁は天得院の続きですね。さすがに花の寺と呼ばれるだけの事はあると言えるのかな?ちょっと嬉しい光景ではありましたね。

2008年6月24日 (火)

京都・洛東 東福寺方丈庭園

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東福寺には重森三玲氏作の庭園が多くありますが、この方丈庭園もまた氏の代表作の一つとされます。ここには方丈の東西南北に一つずつの庭があり、それぞれ独自の景観を持つという、大変に凝った造りになっています。

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まずは南庭からです。白砂と巨岩からなる枯山水の庭で、4つの庭の中では最もオーソドックスなスタイルです。石組みは蓬莱、方丈、瀛洲(えいじゅう)、壷梁(こりょう)の四仙島(仙人が住むという中国古来の伝説の島々)、西側の築山は五山(道教の聖地)をそれぞれ表し、全体として神仙境を表現しているとされます。

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それにしても、近くから見ると怪獣を思わす巨岩ばかりであり、およそ庭石というイメージからは遠いですよね。こういう乱暴とも思える石の使い方をして、独自の奔放な世界観を表してみせるのが、重森氏ならではの力量と言えるのでしょう。

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西の庭は、一転してさつきと白砂からなり、大きな市松模様を描いています。中国古代の田制「井田(せいでん)」に因んで、井田市松と呼ばれるそうです。

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そして最も有名なのが北庭で、敷石と苔が織りなす市松模様という、この庭独自の景観を見せてくれます。平面的な模様の面白さに加えて、敷石を縁取る苔が盛り上がり、立体感までをも演出しているのですね。

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最後は東の庭です。ここも独特の枯山水ですが、七本の石柱は北斗七星を象っていおり、北斗の庭と呼ばれています。つまりは、宇宙を表した庭なのですね。小さな庭なのですが、そこに込められたものは、とてつもなく大きく広い世界なのでした。

この4つの庭を併せて「八相の庭」と呼ばれます。八相とは釈迦の生涯を八段階に分けた八相成道の事であり、この庭に配された蓬莱、方丈、瀛洲、壷梁、八海、五山、市松井田、北斗七星の八つの主題に因んで名付けられたそうです。

一度に4つのコンセプトの異なる庭を見る事が出来る場所というのは、そう多くは無いと思われます。ここは一度は見て置いて損はない場所だと思いますよ。

2008年6月23日 (月)

京都・洛東 東福寺塔頭・光明院

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東福寺の塔頭の一つに光明院があります。1391年(明徳2年)に金山明昶(めいちょう)禅師によって開創された寺ですが、波心庭と呼ばれる庭は昭和になってから築かれたもので、その苔の美しさから虹の苔寺とも呼ばれています。

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この庭の作者は重森三玲氏。こんな大胆な庭を造るのは、氏を置いて他には無いでしょうね。中央に州浜型の枯れ池を配し、その周囲には築山を築き、それぞれの頂には三尊石に見立てた巨石を、その谷間には諸仏とされる石を縦にしてに並べるという、他にはちょっと例を見ない独特の景観を形作っています。

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その築山は見事な苔で覆われており、これが虹の苔寺と呼ばれる所以ですね。この日は数日来雨が続いていたせいで、本来は枯れ池であるはずのところに水が溜まり、本当の池の様になっていたのが面白かったです。

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そして、重森氏がなにより苦心したのがこのさつきの大刈り込みとされます。よくある様に単純に丸く刈り込むのではなく、立体的な雲形を作ってしまったのですね。これを作るだけで24年の歳月を掛けたと言いますから、この庭に注いだ情熱の程が窺えます。

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つまりこの庭は、海と陸のみならず、空までを含めて立体的に構築したという訳で、その構想力の凄さには圧倒される思いがします。この庭が重森氏の最高傑作と呼ばれるのも、判る様な気がしますね。

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そして、どこから見ても絵になる庭は四方正面と呼ばれますが、この庭もそうで、周囲を取り巻くどの部屋から見てもちゃんと絵になるところが素晴らしいですね。

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この寺は、以前は知る人ぞ知るという隠れた名所だったのですが、2000年に「そうだ京都行こう」のキャンペーンに取り上げられて以来、多くの人が押し寄せる所となりました。特に紅葉の時期は大変で、そう広くもない境内であるため相当な混雑を余儀なくされているようです。

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以前は決まった拝観料は無く、竹筒に志を入れる志納制だったのですが、現在では300円と金額が決められており、事実上の拝観料となっています。ただし受付は無く、各自で竹筒に入れるところは変わっておらず、そのあたりは今でも志納制だと言えますね。

紅葉の季節が素晴らしい事は言うまでもありませんが、梅雨時の今は雨に濡れた苔が美しく、もしかしたらこの庭の一番見頃なのかも知れませんよ。


2008年6月22日 (日)

京都・洛東 智積院庭園

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智積院の境内は広く一般に開放されていますが、講堂から先は有料拝観になっています。その中にあるのが名勝庭園で、利休好みの庭と言われ、中国の廬山を象っているとされます。

この庭は智積院の前身である祥雲禅寺の時代(安土桃山期)に原型が造られ、智積院となった江戸期に北半分が継ぎ足されて今の姿となりました。

この写真に写っているあたりが江戸期に築庭された部分で、石組みと植栽が巧みに組み合わされた、いかにもこの時代の庭らしい特徴を持つと言われます。

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一方、このさつきの大刈り込みから南側が原型となった庭で、北半分に比べると精緻さでは劣りますが、見るからに豪快な印象を受ける安土桃山期らしい庭だと言われます。

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そして、このあたりが両方の継ぎ目という訳ですが、あらかじめ説明を聞いておかないとそれとは判らない程、今では渾然と一体化していますね。全体としては変化に富み、それでいて池と石組み、それに大刈り込みがとても良く調和しており、京都における名庭の一つと言って良いでしょう。

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残念ながらさつきは既に終わっていて、大刈り込みが赤く染まる様は見る事が出来なかったのですが、訪れる度にその良さが判ってくる、とても懐の深い庭だと思います。

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その庭園と共に公開されているのが講堂です。平成7年に築かれた新しい御堂ですが、端正でありながら本山らしい古寺の様な風格を併せ持ちます。そしてその一方で、近代的に清潔感に溢れているのが嬉しいですね。

有料拝観ではこの庭だけではなく、収蔵庫にある長谷川派の「桜図」などの襖絵の見学も出来ます。拝観料は400円ですから、とても価値のある有料拝観だと思いますよ。


2008年6月21日 (土)

京都・洛東 沙羅の木~智積院~

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智積院において、沙羅の木こと夏椿が咲いています。まず目に付いたのが池の畔にある2本で、1本はまだ幼木といった感じであまり咲いていないのですが、もう一本の木にはまずまずの花数が咲いていました。

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庭園の拝観に入ると、講堂と大書院に囲まれた中庭にもう一本の夏椿が咲いていました。この木は手入れが良く行き届いており、なかなかの樹形に見えます。

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根元にあった落花で諸行無常を表そうとしたのですが、まだ数が少なくてあまり感じは出ませんね。この木もまだ幼木と言って良く、これから先が楽しみです。10年、20年と年輪を重ねていく程に、智積院の沙羅の木として知られる様になって欲しいものです。

2008年6月20日 (金)

京都・洛東 6月の花~智積院~

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6月も半ばを過ぎ、智積院の花も随分と様変わりしてきました。

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5月の末に咲き始めた桔梗は、今が盛りとなっています。ここの桔梗は以前は参道の両脇だけだったのですが、庭園工事によって庭の中にまで植栽が広げられており、そこかしこで見事な花を見る事が出来る様になっています。

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惜しむらくは、花がらがそのままなので見栄えが今ひとつなのですが、それくらいは仕方が無いというものなのでしょうね。とにかく、圧倒的な花数が咲いていますよ。

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小川の畔では、花菖蒲がまだ咲いていました。そろそろ花期も終わる頃で、今の花が最後になるのでしょうね。また、前回は影も形もなかった蓮の葉が、水面上に出ていました。もう暫くすると、蓮の季節がやって来ますね。

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6月の主役とも言える紫陽花ですが、ここ智積院ではそろそろピークを過ぎてきた様です。少し痛みが目立つ様にはなっていますが、まだまだ見頃ではありますね。

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前回お伝えしたのは本堂の東側ですが、今は北側の斜面の方が見頃になっています。

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まだ成長途中といった感じで、紫陽花の名所と呼ぶには少し早いのですが、もう数年も経つと本当に名所の一つに数えられる様な予感がします。桔梗と併せて、6月は智積院の季節と呼ばれる日が来るかも知れないですね。

2008年6月19日 (木)

京都・洛東 天周~穴子天丼~

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祇園・四条縄手を東に入ったところに、天周という店があります。入り口が狭い路地になっているので、うっかりすると通り過ぎてしまうかもしれないという小さな店ですが、知る人ぞ知るという天ぷらの専門店です。

営業は昼と夜に分かれており、昼のメニューは天丼に限られています。穴子が3本入る「穴子天丼」(1100円)、小海老と野菜の「かき揚げ天丼」(1600円)、穴子2本に大海老1本が入る「ミックス天丼」(1700円)、そして大海老2本の「大海老天丼」(1900円)の4種類があるのですが、今回は「徒然なるままに」のMilkさんの助言に従って「穴子天丼」を頂きました。

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ごま油を使った関東風との事なので、もしかしたちょっとしつこいかもと懸念していたのですが、食べてみるとそんな事は全く無かったです。目の前で揚げた天ぷらをタレに漬けて、あつあつのご飯の上に乗せて出してくれるのですが、さくさくの衣に甘辛いたれが良く染みて、とても美味でしたよ。さすがに3本はボリュームたっぷりで、最後は少し味に飽きてきたのですが、山椒粉をまぶすと味がまた変わって最後まで美味しく頂く事が出来ました。

一番人気はやはりこの穴子天丼で、一緒に店内に居た人達はみんな同じ注文をしていました。昼のランチとしては十分過ぎる程のボリュームがあり、業務の合間に食べるとお腹が一杯になりすぎて昼からの仕事に支障が出るかも、ですよ。他にかき揚げ天丼も人気のあるメニューらしく、次はこれを食べてみたいです。

昼の営業は11時から14時まで、夜の営業は17時30分から21時まで(夜は予約が必要)となっています。店内は全部で20席(うちカウンター席が15席)なのですが、土日は必ずと言って良い程行列が出来ています。ただ、普段はそこまでは混まない様なので、出来れば平日に行かれるのがお勧めですね。


2008年6月18日 (水)

京都・洛東 無隣庵

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仁王門通と南禅寺参道が交わる場所に、明治から続く別荘があります。その名は無隣庵、元老・山県有朋がこよなく愛した別邸でした。

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無隣庵が建てられたのは、日清戦争の戦前から戦後にかけての事です。1894年(明治27年)に着工したものの、その年の7月に日清戦争が勃発した為に一時中断し、完成を見たのは戦争が終わった翌年の1896年(明治29年)の事でした。

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無隣庵はその生い立ちから連想されるがごとく、激動する明治日本の申し子の様な別荘でした。1903年(明治36年)この別荘にある洋館の2階の一室において、元老・山県有朋のほか、政友会総裁・伊藤博文、外務大臣・小村寿太郎、そして総理大臣・桂太郎の4人が集まり、それ以後日露戦争に至るまでの日本の方針が決められたたのです。これが世に言う無隣庵会議であり、20世紀初頭に辿った日本の運命が、まさにこの部屋で定められたのでした。

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無隣庵の名は、かつて山県が長州に建てた草庵が、隣に家のない閑静な場所であった事から付けられたと言われます。一度は木屋町二条の地に別荘を営んだものの、改めて自分好みの別荘を築きたいと考えて現在の地に遷ったのでした。

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その庭は小川治兵衛の手になるものですが、基本的な設計は山県自身が行ったと伝えられます。そのせいなのでしょうか、池泉回遊式の和風庭園ではありますが、伝統的な庭とは違ってどこか洋風であり、また武家屋敷風でもあるのが、この庭独特の風情となっています。

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無隣庵はこの庭園が主要な見所なのですが、建物としては煉瓦造り二階建ての洋館と和風2階建ての母屋、それに茶室があります。母屋の二階と茶室については、借りる事も出来る様ですね。

無隣庵は山県の死後京都市に寄贈されており、現在は市の所有物として管理が行われています。拝観料は350円と安いにも係わらずこれだけの庭が見られるのですから、ちょっとした穴場と言っても過言では無いと思いますよ。

2008年6月17日 (火)

羽生19世名人誕生

森内名人と挑戦者羽生2冠の間で行われていた第66期将棋名人戦第6局は、平成20年6月17日午後8時10分に先手の羽生挑戦者が105手で勝ちを制し、対戦成績を4勝2敗として名人位奪取に成功しました。これで羽生新名人は通算5期目の名人位の獲得となり、引退後に第19世永世名人を名乗る資格を得た事になります。

次のクリップは対局終了直後の様子で、対局中の興奮冷めやらぬ様子が窺えます。勝った羽生挑戦者がしきりに周囲を気にしているのに対し、負けた森内名人がじっと耐えるがごとくに盤面を凝視している姿が対照的で、興味深いものがあります。

これで2年続けて永世名人が誕生した事になり、ちょっとした歴史の瞬間に立ち会ったという気分ですね。今期の名人戦は森内名人の先勝で始まりましたが、羽生挑戦者が3連勝で一気に王手を掛け、前局は落としたものの、最終局を待たずして名人位奪取を決めました。全体としては森内名人の構想力が素晴らしく、内容的には挑戦者を上回っている様に見えたのですが、中盤から終盤にかけて泥仕合に引き込まれるパターンが多く、いつの間にか羽生挑戦者が勝ちを制していたという印象が強いです。終わってみれば、やはり第3局の大逆転が大きかったと言えるのでしょう。

それにしても、羽生新名人は、得体の知れない強さを身に付けたという気がします。中盤の急所で迂遠とも思える手を平然と指し、それでいて最終盤ではしっかりと一手勝ちを確保しているという、常人では考えられない指し回しを見せています。それだけ前人未踏の境地に近づいたという事なのでしょうか。

興味深いのは、30代も半ばを過ぎてから、対局中の様子が大きく変わって見える事ですね。佐藤棋聖にも共通して言える事なのですが、以前は徹底してポーカーフェイスだったものが、現在では内面の苦悩をそのまま表情に表わす様になりました。ほとんど泣いているのではないかと思える瞬間すらありますからね。それだけ経験を積んで、勝負の怖さ、奥深さを知ったという事なのでしょうか。勝ちを求めて苦悩する表情からは、鬼気迫るものを感じます。

羽生新名人は、現在棋聖戦において佐藤棋聖に挑戦中であり、さらには王位戦、竜王戦では挑戦者に最も近い位置にまで来ています。今の勢いからすれば、12年前の7冠制覇の再現もあり得るのではとも思える程ですね。それはそれで凄い事ですが、私としては群雄が割拠する今の状態の方が面白いかな。バラエティに飛んだ将棋を見せてくれる今の将棋界は、かつてない面白さを備えていると思います。

まずは棋聖戦にて、千変万化の将棋を見せて欲しいですね。

2008年6月16日 (月)

京都・洛東 6月の花~真如堂~

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6月の真如堂は、菩提樹と沙羅の花が咲く事で知られます。残念ながら、私が訪れた6月7日の時点ではまだどちらも咲いておらず、深くなったもみじの緑が印象的な境内でした。

(真如堂のホームページに依ると、菩提樹は今が丁度盛り、沙羅は今週半ば頃に盛りを迎えそうとの事です。)

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でも、境内を隈無く探せば咲いている花がいくつも見つかります。その一つが理正院の前庭で咲いていた百合の花。ちょっと植え込みの陰になるのであまり目立ちませんが、とても美しい花が咲いていましたよ。

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その理正院の門前ではクチナシも咲いていました。甘い芳香が素敵な花ですね。

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そして、その参道の入り口には紫陽花が咲いています。とても鮮やかな色で、この日が盛りだったのかも知れないですね。

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真如堂の紫陽花と言えば、鐘楼の周囲に沢山咲いています。日当たりの関係か、こちらはまだ咲き始めたばかりの様でした。あれから10日が経ち、今頃は見頃を迎えている頃かな。

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喜運院の門前では、シモツケが咲いていました。ここも少し他の草木に隠れていて判りにくいのですが、池を見下ろす土手のところに綺麗な花を見る事が出来ますよ。

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そのシモツケは東陽院でも咲いていました。こちらは少し小振りではあるのですが、通路の脇の見やすい位置にあります。

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東陽院の前庭には、結構花が植えられていますね。春には源平咲きの桃が咲いていましたっけ。この日はシランが盛りの花を見せてくれていました。

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同じく東陽院の柏葉紫陽花です。この花も今頃は盛りになっている頃でしょうか。

真如堂も境内ばかりでなく、各塔頭を覗いてみると色んな花が咲いていて楽しいですよ。

2008年6月15日 (日)

京都・洛北 6月の花~京都府立植物園~

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6月は花が少なくなる時期なのですが、そこは植物園だけあって探せば印象的な花がいくつもあります。

この花は京鹿子。シモツケソウの園芸品種ですね。見ての通りとても華やかな花で、それでいて上品ですから和風の庭にとても良く似合います。詩仙堂や平安神宮でも咲いていますね。

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これはキバナノヤマオダマキ。鉢植えなどでよく見かけるのは園芸品種のオダマキで、こちらはその元になった原種の一つです。とても清楚で美しい花ですね。

ところで植物園ではこうした山野草の盗掘が絶えない様です。例えば以前紹介したクマガイソウですが、私が見に行った直後に盗られてしまったそうです。一体なんなのでしょうね。あまりの身勝手さに、腹が立つよりも先に悲しくなってきます。公共心の低下はかなり深刻な所に来てしまっている様ですね。

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植物園会館のすぐ西で、巨大な花を咲かせているのがタイサンボクです。大きいだけでなく芳香も素晴らしい、とても存在感のある花ですね。

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その花芯部のアップですが、上半分が雌しべ、下半分が雄しべになります。こうしてみると、この花がモクレンの仲間である事が良く判りますね。

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植物生態園にある池、通称琵琶湖で咲いていたアサザです。リンドウ科の一日花で、これから8月の終わり頃まで咲き続けるそうです。よく見かける花の様な気がしていたのですが、実は絶滅危惧種に指定されいる貴重種で、京都府ではすでに絶滅してしまっている様です。ここでは池一面に咲いていましたが、実は他では見る事が出来ない光景だったのですね。

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正門花壇では、マリーゴールドとサルビアが主役になっていました。もう暫くしたらカンナの巨大な姿も登場する事でしょう。梅雨空が続く中、植物園では着実に夏への衣替えが進んでいます。


2008年6月14日 (土)

京都・洛北 ばら園~京都府立植物園~

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今から丁度一週間前、6月7日現在の京都府立植物園の「ばら園」です。6月に入ってさすがにバラも最盛期を過ぎていましたが、まだ見頃の花も残っていました。

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その中で私が見たかったのがこの「スブニール ドゥ アンネフランク」です。日本語に訳すと「アンネフランクの思い出」という名のこのバラは、ベルギーの園芸家が1955年に作出した花をアンネの父オットー氏に捧げたものであり、通称「アンネのバラ」として知られます。

花としては、最初は黄色でやがてオレンジになり、最後には赤に近い色になるという特徴を持ちます。5月の中頃が最盛期だった様ですが、この日もつぼみが残っていたので、今でもまだ咲いているかも知れません。

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このばら園からは比叡山が良く見わたせます。この日は梅雨の合間の薄曇りだったのであまりはっきりとは見えませんでしたが、花と名峰を一緒に楽しむ事が出来るのはこの植物園ならではですよ。(写真のバラはアンネのバラとは別種のものですのでお間違えなき様。)

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バラは一輪一輪を見ても美しいのですが、総体的に咲いている所を見るのもまた美しいものですね。少し盛りを過ぎていたフロリバンダ咲きの黄バラですが、離れて見るとまだまだ見頃でした。

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これはジャルダン・ドゥ・フランス、日本語に訳せば「フランスの庭」という品種です。1998年作出と言いますから、丁度10年前になるのですね。とても綺麗な花だと思って見ていたのですが、それもそのはず、4つの国際大会で金賞を貰ったという銘花なのでした。サーモンピンクの花色が実に美しかったですよ。

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これは品種は判らなかったのですが、一輪だけ凛として咲いていた花です。花びらの外と内とで色が違っていますから、これも徐々に花色が変わっていく品種なのでしょうか。

フロリバンダ咲きの賑やかな花も良いですが、こうしたハイブリッドティーの花もまた、潔い感じがして見事ですね。

地震お見舞い申し上げます

東北地方で大きな地震がありました。
まだ状況はよく判りませんが、最大で震度6強との事ですので、被害が心配です。大事に至らなければ良いのですが。

被災された方には心よりお見舞い申し上げます。

2008年6月13日 (金)

京都・洛北 アリウム・ギガンティウム~京都府立植物園~

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京都府立植物園の南東部には沈床花壇がありますが、6月7日に訪れた時には不思議な光景が広がっていました。巨大な葱坊主とも小惑星とも言われますが、アリウム・ギガンティウムという花がその正体です。

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この花の直径は30㎝程もあり、その花がぐるりと花壇の回りを取り巻いているのです。まさに小惑星群が地上に降りてきたかの様な光景で、初めて見るとその異様さに圧倒される思いがします。

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ネギの仲間であり、葱坊主が巨大化したものという表現も間違いではありません。良く見ると小さな花が沢山集まって球状になっているのが判ります。

この植栽は数年前から始まっている様なのですが、私が見たのは今回が初めてです。年に何度も訪れている植物園ですが、この時期だけは抜けていたのですね。おかげで新鮮な驚きを味わえた訳ですが、もっと早くに見ておけば良かったとも思います。

この写真を撮ってから1週間が経ちますから、そろそろ花も終わっている頃かな。5月の終わりから6月の初めに掛けてが花期になりますので、今年見逃した方は来年是非ご覧になって下さい。ちょっとした感動が待っていますよ。

2008年6月12日 (木)

京都・洛北 紫陽花~京都府立植物園~

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この時期、花菖蒲と並んで花の主役となるのが紫陽花です。ここ京都府立植物園のあじさい園では、沢山の種類の紫陽花が植栽されており、様々な花を楽しむ事が出来ます。

この花は美山八重紫。京都の北部の美山町で見つけらたヤマアジサイで、萼片が八重になっているのが特徴とされます。名前に紫とありますが、実際の花は写真のとおりにピンク色でした。これは、ここに植栽された当初は確かに紫だったのですが、なぜか年を経るにつれてピンク色に変わってきたのだそうです。このありたが、紫陽花の面白いところですよね。

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こちらは清澄沢紫陽花。房総半島の清澄山で見つけられたヤマアジサイで、萼片に赤い覆輪が入る事が特徴です。とても上品で美しい花でしたよ。

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これは植物生態園で咲いていた紫陽花ですが、残念ながらラベルが無かったもので品種名は判りません。小振りながら、これも綺麗な花ですよね。

紫陽花に虫が来ている所をあまり見た事がない様な気がするのですが、こうしてちゃんと来ていたのですね、て当たり前か。

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これは咲きかけの西洋紫陽花です。これから徐々に花色が変わっていくという種類の様ですね。さすがに園芸品種だけあって、華やかな花が咲く予感がします。

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この一風変わった花はコアジサイです。珍しいのかなと思っていたら、西日本の山地では普通に見られるのだそうですね。知らなかった。この花は香りがある事が特徴と「きまぐれ園だより」にあったのですが、花が終わりかけていたせいか、何も香らなかったのが残念でした。

紫陽花にも様々な種類があるものだと実感出来るのが、さすがに植物園といったところですね。

2008年6月11日 (水)

京都・洛北 花菖蒲見頃~京都府立植物園~

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平成20年6月7日現在の京都府立植物園の花菖蒲です。この日は満開の少し手前といったところで、ほぼ見頃になっていました。

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京都府立植物園の花菖蒲は、大芝生地の北、枝垂れ桜の前のはなしょうぶ園で咲いています。ここで咲いているのは250種類、約3000株と言われ、さほどの広さはないものの、そのぶん密度の濃い花を見る事が出来ます。

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花の咲き方は品種によってまちまちで、ほぼ咲ききっているものもありましたが、この品種などはまだまだつぼみの方が多く、全体としての見頃はまだまだ続くものと思われます。

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これだけ変化に富む花菖蒲ですが、花の付け根が黄色いという特徴だけは消えないのですね。カキツバタと見分けに困った時には、ここを見るとほぼ判ると思います。

この時期の植物園では最も華やかな箇所であり、お薦めのエリアですよ。

2008年6月10日 (火)

京都・洛東 花菖蒲5分咲き~平安神宮~

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平成20年6月7日現在の平安神宮の花菖蒲です。

そろそろ見頃との声が聞こえて来る様になった花菖蒲ですが、ここ平安神宮においてはまだ5分咲き程度で、見頃まではもう少し時間が掛かりそうでした。ホームページに依ると9日現在でも5分咲きとありますから、この3日間ではほとんど変わっていない様子です。

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花数が少ないせいもありますが、どうもこの花の撮り方が良く判りません。ぱっと見華やかなのですが、写真に撮ってみると葉の部分が多くて、間延びして見えるのですよね。どうにかして綺麗に撮るコツってないものかしらん?

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この日の平安神宮で見頃だったのはコウホネでした。造形美というものはあまり感じませんが、水面から突きだした鮮やかな花色は目に良く付き、やはり美しいものだと思います。

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中神苑の睡蓮は、まだ咲き始めたばかりの様でした。咲ききったものは少なく、ほとんどは半ば開いた状態だっのは、元々日照が足りない曇りの日で、なおかつ夕方が近かったせいなのでしょう。

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花こそ少なかったものの、この池の持つ静かな風情はやはり睡蓮があってのものですね。もしも睡蓮の花と葉が無ければ、寂しいだけの光景でしょうから。

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次はもう少し早い時間帯に来て、咲ききった姿を見たいものだと思います。蕾は沢山出ていましたから、これからは華やかな景色となる事でしょうね。

2008年6月 9日 (月)

京都・洛東 花菖蒲~野村別邸「碧雲荘」~

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南禅寺に隣接する野村別邸「碧雲荘」の前庭で、花菖蒲が満開になっています。

野村別邸「碧雲荘」は、昭和3年に時の野村財閥が建てた別荘で、1万7300平方メートルという広大な敷地を有します。小川治兵衛の手による庭園とそれを囲む建物群からなり、その優れた造形が認められて、平成18年に重要文化財に指定されました。

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現在は野村財閥の後継たる野村殖産が主催する「碧雲荘運営事業組合」によって管理されている様ですが、原則として非公開で、内部を窺い知る事は出来ません。ただ、今の時期は玄関前の柵が取り払われ、前庭に咲く花菖蒲を見る事が出来る様になっています。

その様はなかなか見事なもので、知られざる花菖蒲の名所と言っても良いかも知れません。

観光地ではないのでマナーには注意が必要ですが、手入れの行き届いた別荘の一端を窺い知る事も出来るので、近くに行かれる事があったら立ち寄ってみられると良いですよ。

2008年6月 8日 (日)

京都・洛北 蛍火の茶会~下鴨神社~

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平成20年6月7日、下鴨神社にて蛍火の茶会が催されました。この行事は糺の森に蛍が復活した事を記念して糺の森保存会によって開催されているもので、平成3年に始まっていますから、今年で18年目になるのですね。

糺の森にはかつて幾筋もの流れが存在し、初夏になると無数の蛍が飛び交う地でした。ところが昭和20年代以降、周辺の開発と共にほとんどの小川の流れが途絶え、かつ農薬汚染の進行によって、蛍はすっかり姿を消してしまいます。

昭和の終わり頃になると、自然回復の気運と共に、地元の人達の手によって森に唯一残る泉川の清掃が行われる様になります。そしてそれに併せて蛍の放流が繰り返されていく内に、蛍が自然発生する様になりました。このあたり、哲学の道や祇園白川など、他の蛍の名所と経緯は似てますね。

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蛍火の茶会は、午後5時に社頭にて奉告祭が行われ、それと同時に橋殿・細殿にて茶会が開催されます。そして神服殿にて箏曲や雅楽舞の奉納があり、蛍の放流は午後8時に御手洗池にて行われます。

行事自体はあっさりとしたもので、祝詞やお祓いなどは一切無く、ただ大篭の中に集められた約600匹の蛍が一斉に放たれるというだけです。でも、人気の程は大したもので、御手洗池の周囲には幾重もの人垣が出来ていました。何でもバスツアーまで出ていたそうですね。

我が家では1時間程前から岸辺の最前列に座って待っていました。実は場所だけ確保しておいて途中で雅楽舞などを見に行こうと思っていたのですが、次々と人垣が出来てしまい、身動きが取れなくなってしまったというのが実情です。1時間はちょっと長かったですが、でもおかげさまで特等席で蛍の乱舞を見る事が出来ました。

蛍の光はやはり雅ですね。毎年哲学の道で見ていますが、こういう由緒ある神社の境内という舞台装置で見ると、また趣が違って感じられます。ちなみにこの蛍は、糺の森で集められたものの様ですね。一度は囚われの身となるものの、すぐに隣の森へと帰って行く事が出来るという次第です。

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ただ蛍の写真を撮るのに、そこかしこでフラッシュが焚かれるのには参りました。蛍の淡い光を撮るには感度を上げて長時間露光を行う以外には無く、フラッシュを焚いては光が消えて台無しになってしまうのですが、お構いなしにバシャバシャとやるのですよね。実は放流の前にフラッシュは焚かない様にという明瞭な注意があったのですが、全く効き目はありませんでした。葵祭の時も馬が驚いて暴れるからと同様の注意があったのですが、何で言う事を聞かないのでしょうね。

蛍は神経質な昆虫ですから、驚くと光るのを止めてしまうのです。放たれた蛍は暫くじっとしていて、辺りが落ち着くと光り始めるのですが、その瞬間にフラッシュがあちこちで焚かれるものですから、また光るのを止めてしまいます。見ている人も眩しいし、こっちの写真まで真っ白になって駄目になるしで、迷惑この上なかったですね。

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この行事のメインとなるお茶会の様子です。明治の頃まで下鴨神社に存在した納涼茶席を復元したもので、今は裏千家によって仕切られています。

お茶会に参加するには糺の森保存会の会員になっている事が必要で、あらかじめ招待券を受け取った人に限られます。もっとも当日券もあるそうなのですが、大層な混み様だったので、相当な時間待ちを強いられたかも知れません。

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これは、この行事の締めくくりとして行われた、十二単衣の着付けの実演です。長袴姿の踊手に二人の着付け掛かりが次々と着物を着せて行くのですが、普段目にする事がないだけに興味深いものがありました。着せられる側は着せ替え人形よろしくただ立っているだけなのですが、手際よくお姫様姿が出来上がっていく様子を見るのはなかなか楽しかったですよ。

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着付けが終わった後は、雅楽舞の奉納が行われます。舞は踊りとは違って、決して足を上げたりしないそうですね。もっとも総重量が14kgもあるという十二単衣を着ていては、とても飛んだり跳ねたりは出来ないでしょうけどね。

十二単衣の着付けでは、一枚の着物を着せる毎に新たに帯を締めては下の帯を取っていき、最後には重ねた全ての着物を一本の帯でまとめてしまいます。いくら激しい動きは無いとは言え、いい加減な着付けだと途中でばらけてしまい、収集が付かなくなってしまう事でしょう。熟練の業のなせるところですね。

雅楽舞は、文字通り雅楽の調べに併せて舞うもので、十二単衣のボリューム感もあいまって、とても優美なものでしたよ。

帰りがけに泉川の畔に寄ってきましたが、自然発生した蛍が数匹光を放っていました。考えてみれば行事の為に600匹が捕獲された直後だった訳で、一番少ない時に当たった事になりますね。暫くすれば境内から戻ってきた蛍が輝きを放つはずで、もっと綺麗な光景が見られる事でしょう。出来ればもう一度糺の森に行ってみたいものだと思っています。

2008年6月 7日 (土)

京都・洛東 八坂の塔~曇天~

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二年坂から八坂通を下ります。客待ちの場所を変えるのか、空の人力車が坂道を登ってきました。以前は無かった人力車ですが、何時の間にやらすっかりこのあたりの点景になっていますね。

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雨は止んだものの、空は雨を含んだ雲に覆われており、今にもまた降り出しそうです。暗く沈んだ八坂の塔ですが、この景色もまた雨の日ならではの風情ですよね。

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八坂の塔の下へと下りてきました。ここで写真を撮っていたのが外人の女性です。いかにも日本的な景色ではあるのですが、どうせなら白い空ではなく青空を背景にしてあげたかったな。それとも、モノトーンの方が異国情緒があって良いのかしらん?

こういう景色が外国の人にはどう映っているのか、いつも気になるところではありますね。

2008年6月 6日 (金)

京都・洛東 しるこセーキ~二年坂・かさぎ屋~

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石塀小路から二年坂までやって来ました。石塀小路からここまではわずかの距離なのですが、いつの間にか霧雨も止んでいて、傘が要らなくなっています。

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二年坂と言えばかさぎ屋さん。やはりこの佇まいはこの界隈ならではのものがあります。

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かさぎ屋さんにはこれまでも何度か寄せて頂いていますが、今回は以前から気になっていた「しるこセーキ」を頼んでみました。この店でしか食べる事が出来ない、5月から9月までの夏季限定メニューです。

これが何かと言えば、フローズンのお汁粉です。作る所を見た訳では無いので「多分」なのですが、氷らせたお汁粉を、かき氷状に細かく砕いたものと言えば間違いないでしょうか。以前に氷しるこを紹介した事がありますが、あれは汁粉の上にかき氷を乗せたものだったのに対し、しるこセーキはお汁粉自体が氷っているのですね。

もっとも、全部がお汁粉のかき氷かと言うとそうでもなく、食べやすい様にでしょうね、冷えたお汁粉と氷の部分が相半ばしています。味はお汁粉の旨味が濃厚にありながら、甘味を押さえたあっさり味でなかなか美味。ただ、雨上がりの肌寒い時に食べるのには、ちょっと冷たすぎたかも知れません。暑い盛りになら、もっとぴったりと来たでしょうね。

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こちらは、一緒に行った息子が頼んだ普通のお汁粉です。暖かい分、味と甘味ははこちらの方が濃厚ですね。でも、少しもしつこく感じないのは、さすがと言えましょうか。値段はどちらも650円です。

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最初のうち、かさぎ屋さんに居たのは私たち二人だけでした。やはり雨の日には客入りも悪いのかなと思っていたのですが、暫くするうちに次々と客が訪れ、やがて満席になってしまいました。この店の人気ぶりは相変わらずの様ですね。

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店にはエアコンもありますが、冷房を入れるには気温が低く、かと言って締め切ってしまうには湿度が高すぎたのでしょう、入り口は開け放たれています。掛かっているのは夏用なのでしょうね、麻地の透けた暖簾が涼しげでしたよ。


2008年6月 5日 (木)

京都・洛東 石塀小路~霧雨~

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長楽寺からずっと下って、下河原通から石塀小路へと入ります。トンネル小路とも呼ばれるこの道は、雨が降ると一層幻想的になりますね。

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この頃、雨は霧雨になっていました。目にははっきりと見えないけれど、傘を差さないといつの間にかしっとりと濡れている、そんな感じの雨です。

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その雨にさつきの花が濡れていました。本来は明るい花色なのですが、こんな日にはどこか憂いを含んでいるかの様に見えますね。

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どこまでも続く迷路の様な、石塀小路の一角です。普段は人影を入れずに撮るのは至難の業なのですが、こんな雨の日には訪れる人も少なく、とても静かな景色になりました。

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濡れた石畳と板壁の組み合わせは、雨の日の風情に溢れています。こういう景色に出会えるから、雨の日の散歩は止められませんね。

2008年6月 4日 (水)

京都・洛東 長楽寺~翠緑~

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円山公園を東に抜けると、長楽寺の参道が現れます。かつて真葛ヶ原と呼ばれたこの一角ですが、参道を覆う様に茂ったもみじの枝が、わずかにその名残を示しているかの様ですね。

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長楽寺と言えば、5月8日に収蔵庫が焼けるというショッキングな事件があったばかりですが、拝観は変わることなく平常どおりに行われています。焼けたのは収蔵庫だけで、保管されていた仏像は全て無事であったのは不幸中の幸いでした。

焼け出された仏像は京都国立博物館に預けられ、現地では焼け落ちた収蔵庫の解体作業が進められています。その作業の音が響く他は何一つ変わることなく、境内は深い緑に包まれていました。

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やはり雨が降ると緑が鮮やかになります。この苔の絨毯は、実はコンクリートの擁壁。擁壁の表面をびっしりと苔が覆い、そこからシダと何かの苗木が葉を茂らせていました。ちょっと不思議だけど、美しい光景ではありますね。

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翠と言えば、このアオスジアゲハの羽の色も綺麗でしょう?羽が濡れてしまって飛べないのか、足下で羽ばたいては枯葉にしがみつくという行動を繰り返していました。ちょっと可愛そうだったけど、雨が止んで暫くすれば、また飛び立てた事でしょう。

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雨に濡れた相阿弥の庭です。雨だれの音だけが聞こえる静かな庭、と言いたいところですが、収蔵庫を解体する音がここまで響いており、風情を感じる事が出来なかったのが残念です。

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でもまあ、写真でなら静けさを感じて貰えるかな。本来ならしっとりとしたもみじを眺めながら、心行くまで閑けさを堪能出来る庭なのです。

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この日は受付に誰も居らず、ドラを鳴らしても、ベルを押しても何の反応もありませんでした。暫く待っていると、通りかかった解体工事の作業員の方が奥に取り次いで下さり、やっと拝観することが出来たのです。

やはりこんな雨の日には、拝観者はほとんど居ないという事なのでしょうね。それと火事の報道により、拝観が中止になっていると思っている人も多いのかな。

長楽寺は無事ですよ。ちゃんと拝観も出来ています。ただ、数々の仏像を見る事が出来なくなったのは寂しいですけどね。もう暫くすると解体工事も終わり、元の静かな境内に戻る事でしょう。

その後、収蔵庫が再建されるかどうかは聞き漏らしたな。いったいどうするのでしょうね。このまま仏像を博物館に預けておく方が安全である事は間違いないのですけどね。

2008年6月 3日 (火)

京都・洛東 小雨模様~八坂神社から円山公園へ~

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小雨が降る中、祇園を抜けて八坂神社に来ました。ここは雨にも関わらず、参拝客で賑わっています。さすがは祇園さんですね。

雨に濡れたもみじの翠と楼門の丹色の対比が美しい。

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丹色というのは、やはり神に仕えるための特別な色なのかな。婚礼の列を迎えに現れた巫女さんなのですが、周囲の観光客とは全く異質な存在であるかの様に、浮かび上がって見えました。

凛として、なかなか良い感じでしたよ。

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八坂神社を抜けて円山公園に出ます。この頃、雨脚がやや強くなってきました。

雨に煙るという程では無いにせよ、雨を受けて緑の濃さを増した東山が、少し陰鬱なくらいに沈んで見えます。

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この池は、普段は少し雑然とした印象を受けるのですが、雨の日はしっとりと落ち着いて見えますね。これがこの池本来の風情なのでしょう。

ここから、橋を東に渡って長楽寺を目指します。

2008年6月 2日 (月)

京都・洛東 祇園~雨の止み間に~

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この日は朝から雨が降ったり止んだりの繰り返しの天気でした。祇園を訪れた時は丁度雨の止み間にあたり、傘を閉じての散策です。

祇園新橋も、雨模様とあっては歩く人も少なく、閑散としています。白川と違って両側に家並みが続きますが、それでもこの季節の基調は緑、正面の柳の色が目に染みますね。

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新橋にある細い路地を通って白川に出ました。

祇園白川には、紫陽花が多く咲いています。これは文学芸妓と呼ばれた磯田多佳女が愛した花だからとも言い、かにかくにの碑の側にも植えられています。これからの季節、祇園を彩る花ですね。

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巽橋を渡って切り通しにまで来ると、再び雨が降り出しました。雨に濡れた枝垂れ柳と枝垂れ桜の葉が、つややかに輝いて見えます。

こうしてみると祇園とは、つくづく雨の似合う町ではありますね。

2008年6月 1日 (日)

京都・洛中 梅雨の走り~鴨川~

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このところ近畿では雨の日が多くなっています。梅雨の走りというか、四国では既に梅雨入りしているそうですから、迎え梅雨と言った方がより感じが出るかも知れません。5月31日はまさにそんな日で、しとしとと降り出したかと思えば、時折薄日も差してくるという、梅雨の前触れと呼ぶに相応しい一日でした。

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この程度の雨なら鴨川もさほど増水する事もなく、いつもより少し多いかなという程度です。川の流れを眺めるには、多すぎず少なすぎず、丁度良い流量かも知れないですね。でも、さすがにこんな日は、名物のカップルの姿はありません。

この週末は、雨の風情を求めて東山を歩いてきました。今週は季節がら、しっとりとした京情緒をお届けできたらと思っています。

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ねこづらどき

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