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2004年6月28日 (月)

新選組!17

新選組! 第25回「新選組誕生」

とうとう芹沢鴨の最期が来ました。佐藤浩市の大立ち回り、なかなかの迫力がありましたね。最期は斬られてしまいましたが、土方の刀を折り、睨みつけて射すくめてしまうしまうなど、筆頭局長としての意地は見せられたのではないでしょうか。文机に躓くかわりに瓢箪に足を取られたのも、このドラマの芹沢らしい演出だったのではないかと思います。

ドラマでは、土方が芹沢にしきりと酒を勧め酔わせようとしていましたが、芹沢に魂胆を見透かされていまいます。この時点での役者の違いを示しているかの様でしたが、実際にはもっと巧妙にふるまっていた様です。

永倉新八の「浪士文久報国記事」によると、角屋での会合が終わったあと、土方は芹沢、平山、平間の3人と共に八木邸で酒宴を開いています。このとき、芹沢はお梅、平山は桔梗屋のお栄、平間は輪違屋の糸里を呼んでいました。土方だけが相手がおらず、おそらくは座を盛り上げるのに腐心していた事でしょう。夜更けになり、芹沢達を十分酔わせた土方は、酒を下げさせお開きにします。3人がそれぞれの相手と寝入った事を見届けた土方は、討ち入りやすい様に八木邸の玄関の障子を開け、門の扉も開けたままにしておきます。

「浪士文久報国記事」では、ここで御倉伊勢武という人物が登場します。この人は長州藩の間者として後に処分された人ですが、このときは土方が冷徹な策謀を巡らせ、間者としての腕を計るため、また万が一失敗しても間者が一人死ぬだけという計算により真っ先に斬り込ませました。これに続いたのが、土方、沖田、藤堂だったと言います。襲われた3人は、一つの部屋を屏風で3つに仕切って寝ていました。平山は寝ている所を一刀の下に首を切られてしまいます。芹沢は屏風の上から刀を突き立てられ、枕元の刀を取って抜こうとした所で腕を切られて絶命してしまいました。お梅もこのとき巻き添えを喰って首を切られて亡くなっています。平間重助も屏風の上から5、6回突き立てられたのですが、何故か糸里と共に無傷に済み、この後行方知れずになったとあります。また、お栄については厠に行っていて無事でした。

この暗殺については諸説があり、実行犯としても前出の4人のほか原田佐之助と山南啓助それに井上源三郎を含めたいくつかの組み合わせがあって本当に誰が襲ったのかは定かではありません。土方と沖田が居たこと、また
近藤勇と永倉新八はその場に居なかった事は間違いないようです。

また、芹沢が殺された様子についても、最初に沖田が斬りつけたところ、起き直った芹沢が脇差しで反撃して沖田の鼻の下に傷を付け、そこを背後から土方に斬られて絶命したという説(西村兼文:新選組始末記)、番組の最後に紹介されていたように斬りつけられながらも隣室まで逃げて文机に躓いて転んだところを止めを刺されたという説などがあります。(八木家に伝わる話)このとき出来たという鴨居の傷が八木邸に残っており、これもドラマに生かされていましたね。

さらに、ドラマでは子供が障子から顔を出して様子を見ていましたが、子母澤寛の「新選組始末記」によると、芹沢は八木家の子供が寝ている布団の上に倒れ込み、刺客はそこを散々に斬りつけます。このとき、八木家の息子の一人である雄之助が足を切られてしまい、事件の翌日に沖田総司が気の毒そうに「勇坊まで怪我をしたそうですね。」と話しかけてきたとあります。

有名な事件にも係わらず真相がはっきりしていないのは、それほど隠密裏に事が運ばれ、その後も箝口令が敷かれていたためと思われます。「浪士文久報国記事」を書いた永倉新八にしても当日は何も知らされておらず、その後も真相を聞かされる事は無かったと言っています。

ドラマでは、山南が平間重助を助けます。いかにも堺雅人演じる山南らしい優しさが感じられて良い感じだったのですが、平山も助けようとしたところを逆に斬りかかられ、危ういところを原田佐之助に助けられていました。「戦場では、躊躇した方が負けなんだ。」と原田に厳しく言われていましたが、この優しさが山南の命取りになるという暗示なのでしょうか。

また、野口健司も近藤に命を助けられていました。このドラマの野口は岡本幸作が好青年を演じており、彼に詰め腹を切らせるというのは確かに辛いものがありますよね。ですから、こういう設定にしたのは判らなくもないです。

でも、マイナー隊士を紹介してきた私としては、野口と平間の設定には異議があります。それは、史実と違うということではなく、彼等の生き様の描き方という点についてです。

まず、平間については以前に紹介したように芹沢家の家臣の家柄で、用人の様な存在でした。彼は自身の意思ではなく、芹沢に尽くすために上洛して来ました。彼にとっては、新選組は二の次で芹沢こそ全てです。その彼が芹沢がまさに殺されようとしているときに、命を助けてやると言われて逃げ出したりするでしょうか。及ばずながらも山南に斬りつけて、芹沢の下に駆けつけようとするはずです。それを戦わずして逃げ出したとなれば、主筋の者を見捨てた卑怯者として一生指弾され続ける事になります。

また、野口にしてもこの時代に生きる志を持った武士として、先輩が奸計に陥り殺されようとしている時に、自分だけ助けてやると言われておめおめと生き残れるものでしょうか。この当時は臆病者とされる事が最大の恥であり、この
ドラマのとおりに生き残ったとしたら武士の世界では一生爪弾きにされ、二度と日の目を見ることは出来ないでしょう。それは武士にとって、死ぬより辛い事のはずです。

今の時代のドラマなら何よりも生き残る事の方が大事でしょうけど、この時代の背景を考えると、新見やこの後の山南の様に死場所を与えてやった方が彼等にしても本望だったのではないでしょうか。どのちみち史実とは違う設定にしているのですから、野口が近藤に斬りかかって返り討ちに合うとか、平間はせめて芹沢に説得されて落ち延びるとかいう設定には出来なかったものですかね。なんていうのは、要らざるたわごとかな。


この項は、子母澤寛「新選組始末記」、別冊歴史読本「新選組の謎」、木村幸比古「新選組日記」、新人物往来社「新選組資料集」「新選組銘々伝」を参照しています。


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